なないろ読書手帖

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時のかなたの恋人 (新潮文庫) / ジュード・デヴロー

時のかなたの恋人 (新潮文庫)

●あらすじ
恋人とのイギリス旅行中、無一文で教会に置き去りにされてしまったダグレス。
パスポートさえも奪われて、涙に暮れる彼女の前に突如として現れた奇妙な男性。
光り輝く鎧に身を包み、16世紀イングランドの伯爵・ニコラスと名乗る彼は、
陰謀によって処刑される運命にあった…。
当初は彼の存在を訝しんでいたダグレスだったが、次第にその事実を認め始める。
惹かれあう二人は、運命を変えるため奔走するが…


●ネタバレ感想
これは、ものすごく、面白かった!方々で絶賛されてたのも頷ける。


ニコラスの無実を証明するための鍵は現代に残されているのか?
その証拠を過去に持ち帰り、運命を変える事はできるのか?
という、タイムスリップものとしての面白さに加え、
ダグレスに惹かれつつも、いずれ過去に戻るべき人間であるニコラスは、
必死にその想いを抑える…
という、ロマンスものならではの切なさもあり。
タイムスリップとロマンスは相性がいいっていうけど、本当にそう思った。


新潮文庫であることも手伝って?文体に硬質な印象を受けましたがそこがいい!
中でもニコラスの時代がかった言い回しが魅力的でした。
「そなたははなはだ熱心に余を見つめておるな」とかね。
愛の言葉も「愛している」じゃなくて「愛しておる」。
原書での言い回しが気になるところ…


ダグレスも、当初はダメ男ばかりに尽くしては捨てられる様に若干冷めた目線だったんですが、ニコラスとの出会いによって彼女自身の持つ本来の魅力が開花していき好感度アップ。
「この人!」と思ったら一直線、全身全霊をかけて愛を捧げる彼女の気性が対ニコラスに限ってはプラスに働いたんだなぁと。
ロマンチストでとってもポジティブな彼女、かわいらしいなぁと思いました。


ヒーローヒロインともに魅力たっぷりで、ふたりのちぐはぐでユーモラスなかけあいも楽しかった♪


ラストについては…(超ネタバレなので反転)
ハッピーエンドなのだけど、「子孫」や「生まれ変わり」と結ばれるパターンは…とっても苦手だったりします…。結構見るパターンではありますが。
どーしても、その人自身じゃない、と思ってしまう。ニコラスは既に過去の人で、お亡くなりになってるんだから。
しかも、ダグレスを想い続けたまま、生涯独身を貫いてんだから。ニコラスの生涯を思うとそれでいいのか!?と。
霊魂になっても愛しつづけるのなら幽霊として出てきてほしかった(笑)
けどまあ、ダグレスがスタフォード家の子孫と結婚するということは…ニコラスとも血の繋がった子を産むわけで…
これはこれでよかったのかな〜